リモートワークポリシー:移民とCOVID後の世界 | Remote Work Policy: Immigration and Post-COVID
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COVID後の世界でリモートワークポリシーを実施する際には、外国人労働者を抱える企業は、在宅勤務(WFH)を行う労働者のため、移民規則を慎重に検討しなければなりません。すべての非移民就労ビザの中で、H-1Bは、勤務場所やその変更に関して最も制限されています。他の非移民就労ビザ(E、L、TN、F-1 OPT、P-1、O-1など)には同様の厳しいルールは適用されず、勤務地の変更の事前承認の要否についてより柔軟なルールが適用されています。
H-1B労働者は、H-1Bスポンサー申請書に記載された場所でしか就労してはならないとされています。これは主に、労働条件申請(LCA)を行う必要があること、それに伴い現行賃金の分析をしなければならないことによります。H-1B労働者が「時々(自宅から)リモートワーク」を行う事を希望している場合、以下の2つのいずれかを雇用主は行う必要があります。(1)H-1B労働者の自宅住所が雇用主の労働条件申請(LCA)に記載されている勤務地の近隣にある場合は、自宅に最新のLCAを再掲示し、パブリックアクセスファイルにその旨メモを記載する。(2) H-1B労働者がLCAに記載された勤務地からかなり離れた場所で勤務しようとする場合は、申請料と必要な補足書類を添えて、H-1B修正請願書を移民局に申請する。どの位離れた場所での勤務まで許されるか(H-1Bの勤務場所の地理的範囲)(https://www.dol.gov/agencies/whd/fact-sheets/62j-h1b-worksite )については、H-1B労働者が雇用される勤務場所(住所)から通常の通勤距離内のエリアを意するとされていますが、ケースバイケースで慎重に分析する必要があります。
雇用主は、今後H-1Bのスポンサーになるときは、H-1B従業員の自宅住所と通常の勤務場所の双方を勤務地として申請することを検討されるとよいでしょう。移民局は、H-1B従業員を別の勤務場所で勤務させることとそれに関する勤務旅程に関する2つのメモランダムを発出していましたが、これらはITServe Alliance v. L. Francis Cissna(https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/district-of-columbia/dcdce/1:2018cv02350/200810/24/ )が和解で終結したことを受け、撤回されました。そのため、移民局に勤務旅程の詳細を提出することを求められることはなくなり、H-1B従業員の自宅住所と通常の勤務先の双方を勤務場所として記載することのハードルは低くなりました。
さらに、H-1B労働者を雇用する場合は、その者の職場の場所が変更になると、現行賃金率が上昇する可能性があることを頭に入れることが重要です。雇用主は、H-1B従業員に(自宅から)リモートワークを認めるかどうかの判断にあたっては、勤務地が変更になることにより、その変更後の勤務地における現行賃金率がどのくらいかを確認する必要があります。 H-1B従業員が、指定された勤務場所の地理的範囲内で働いている場合はこれが問題になることは多くないかもしれません。しかし、従業員が他州や大都市に移動することを希望する場合、現行賃金率が上がってしまい、その結果必要な現行賃金水準を満たさなくなるかもしれないという問題が生じる可能性があります。雇用主は、H-1B従業員が複数の勤務地で勤務する場合には、実勢賃金または他の同様の立場にある従業員の賃金のいずれか高い方が支払われていることを、そのいずれもの勤務地
について確認しなければなりません。例えば、ミシガン州デトロイトに所在する雇用主が、ソフトウェア開発者であるH-1B従業員に、マサチューセッツ州ボストンに移ってそこにある自宅から勤務することを認めるかどうかを検討するとします。例えば、このH-1B従業員は、配偶者がボストンの病院で働くオファーを得たためにボストンへの引っ越しを希望しており、雇用主もそれを認めるような柔軟なリモートワークポリシーを新たに導入したばかりだったとします。このシナリオでは、H-1B従業員の勤務地が変更されることに伴い、労働条件申請(LCA)の再掲示だけでは足りず、H-1B修正請願の申請が必要になり、かつ実勢賃金が上昇するため、少なくとも年間15,000ドルの昇給が必要になります。雇用主は、そうなるのであればリモートワークを認めるのではなく、従業員を解雇するオプションも検討したいと考えるでしょう。
雇用主は、従業員の在宅勤務(WFH)オプションについて柔軟なポリシーを導入するときは、勤務地の変更によりH-1B従業員の現行賃金率の上昇という問題が発生する可能性を検討する必要がある一方で、在宅勤務(WFH)をH-1B従業員には認めないとする場合にはH-1B従業員を差別しているのではないかという申立てを受ける可能性も検討し、両者のバランスを取る必要があります。1つの解決策としては、在宅勤務(WFH)ポリシーを策定するときに、在宅勤務は、勤務場所と同じ地域内、または同じ州内に限定する、というルールにすることが考えられます。もしH-1B従業員が他州であってその州には雇用主のオフィスが存在しないような州に移動する場合、その従業員に適用すべき給与を再度検討する必要があります。またその州で新たに税務申告書を提出する必要が生じる場合もあります。本稿で述べたH-1B労働者にのみ適用される移民規則は、H-1B労働者のみを差別して扱うことを正当化するものではありません。従って、特に外国人労働者を抱える雇用主にとって、リモートワークポリシーを策定する際には、移民法、税務、労働・雇用に関する弁護士とよく相談することが重要です。
English version here.
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