州の給与透明化法-PERMの求人活動を実施する前に 雇用主が確認すべき5つの問題 | State Pay Transparency Laws: 5 Questions Employers Must Ask Before Starting A PERM Recruitment Campaign
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何が起こっているか?
ここ数年、求職者の賃金の透明化を図るため、複数の州におい て、給与透明化法が制定されています。この法律の目的は、求職者が給与に関する一般的な考えを持った上で賃金交渉に臨むことで、最終的に給与の平等性を実現することにあります。給与透明化法では、求人広告に給与・賃金の範囲を記載することが義務付けられているため、求職者がその職種に関する給与を合理的に予測することができるようになっています。コロラド州の給与透明化法が2021年1月1日に施行されて以降、多くの州または一部の自治体がそれに追随しています。
同様の法律を検討する州が増えるにつれ、給与透明化法を制定する州の数も増えています。Center for American Progressが提供する以下の図表では、現在制定されている様々な法律の詳細に関する説明がなされています。
これらの法律は似ているように見えますが、対象となる雇用主の規模等、法の適用範囲に影響を与える規則が異なる場合があります。特に、給与透明化法の中には、州内に雇用主や従業員がいない場合でも、遠隔地の従業員が対象となると解釈されるものもあります。
PERM に関する規制
PERMは厳格に規制されたプロセスで、雇用の意思の有無、雇用の資格の有無、該当するポジションに就くアメリカ人労働者の有無を判断するための雇用市場テストの実施が求められます。雇用主は、労働市場テストの一環として、労働省(DOL)から実勢賃金決定書(PWD)を取得する他、様々な広告や掲示が求められます。
DOLの規制では、求人広告に賃金が記載される場合、DOLが決定した実勢賃金及び外国人従業員に提示される賃金より低い金額を記載してはならないとされています。DOL規則は、影響を受ける労働者に提供される通知(Notice of Filing。広告ではない)にのみ賃金を記載することを要求しています。また、他の形態のPERMの求人においては、賃金の記載は必要ありません。
給与の透明性に関する法律とPERMの整合性
コロラド州は、PERMの一環として求人広告を掲載する雇用主に対しては、給与透明化法を適用しないことを表明しています。しかし、他の州は同様の表明はなされていません。したがって、雇用主がPERMで求められる求人活動を行う際には、州法または自治法の規制に反しないよう、慎重に行う必要があります。例えば、雇用主は、リモートワークの傾向や、リモートワーカーへの広告の可能性を考慮した上で、PERMの全ての求人広告に賃金レンジを記載するかを検討すべきです。なお、雇用主がケースバイケースで賃金や賃金レンジの記載を検討する場合には、労働担当弁護士と相談し、以下の5つの項目を確認する必要があります:
1. 雇用主の規模、本社所在地、特定の地域に所在するオフィス 等の要因から、州または自治体の賃金法賃金規制に拘束され るか?
2. 職務が遂行される場所、リモート勤務の可否、その職務に関 連する出張の必要性などから、当該職務が州または自治体の 賃金法・賃金規制の対象となるか?
3. 広告に掲載される賃金レンジは、PERM規制の要件(下限は実 勢賃金と同等またはそれ以上でなければならず、また、外国 人労働者にオファーされる賃金を下回ってはならない)を満 たしているか?
前述の通り、PERMの規制上、雇用主は、実勢賃金や外国人労働者にオファーされる賃金よりも低い賃金(またはそ賃金レン ジ)を記載してはならないことになっています。
4. タイミングへの影響があるか? PERMの規制上、PWDが発行される前に求人活動を行うことも可能ですが、その場合には、雇用主がリスクを負う可能性があります。例えば、PWDの発行時期を雇用主がコントロールすることはできないため、申請前に求人広告が期限切れになる可能性があります。また、求人広告に実勢賃金を上回る賃金・賃金レンジを記載しなければならない場合においても、雇用主が負うリスクが増えます。毎年7月1日、新たな賃金データを反映させるため、公示された実勢賃金が調整されますが、職種によっては、
前年よりも大幅に上昇した実勢賃金が適用されることも珍しくありません。そのため、雇用主がPERMの一環として求人広告に賃金・賃金レンジを記載する場合には、PWDが発行されるまでは求人広告の掲出を待つことを強くお勧めします。
5. 賃金レンジを含めることで、どのような影響があるか?
実勢賃金の要件を満たすため、賃金レンジの下限を、雇用主が通常オファーする賃金よりも高い水準に設定することも多くなっています。そのため、PERM手続の一環として実施される求人活動で提示される賃金に関しては、実際の賃金レンジが反映されていない場合があります。すなわち、PERMの求人活動における求人広告とそれ以外の求人広告との間に矛盾が生じる可能性があります。加えて、PERM規制や州・自治体の規制を遵守しつつも、ビジネス戦略に沿ったPERM採用戦略を立てる上で考慮されるべき雇用主独自のポイントが存在する場合もあります。 PERM手続における求人広告には、全てのポジションに関する要件を具体的に記載する必要はないものの、PERM広告が同等のポジションに関する他の求人広告よりも高い賃金レンジをとなっている理由を求職者に知らせるために、そのような要件を記載することが有益な場合もあり得ます。
結びに変えて
新たな賃金透明化法は、現在の雇用環境への対応といった観点からは時代遅れとなっているPERM規制を遵守する雇用主にとって、難題を提起しています。PERMの要件と賃金透明化法が交錯する本課題については、PERM規制と州や自治体の規制の両方の要件を満たすPERM採用活動を行うためにも、移民法及び労働弁護士とともに最善の戦略を立てる必要があるといえるでしょう。
著者について
Heather Frayreは、ディキンソンライト法律事務所エルパソオフィスのメンバーで、入国管理局の手続に関するサ ポートを提供しています。また、企業や団体からの、募 集・採用・異動・退職・外国人労働者の雇用維持に関する相談にも応じています。加えて、孤児のお客様を対象に、入国管理に関する問題や非移民ビザ、永住権、市民権、労働法に関する問題も取り扱っております。
電話番号:915-541-9370
本クライアントアラートの内容は、著者自身の見解を示したものであり、情報提供のみを目的とするものです。本クライアントアラートに含まれる内容は、法的または専門的なアドバイスを提供するものではありません。今回取り上げたトピックに関する具体的な質問や懸念がある場合には、Dickinson Wrightの弁護士に相談されることをお勧めします。
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