フォームI-9に関する最新状況 - L1およびE1/E2の方の配偶者は、EADなしで就労可能 - 本当でしょうか? | Form I-9 Update – L and E Nonimmigrant Spouses Eligible for Work Without Employment Authorization Document – Really?
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多くの会社が従業員の人手不足に悩む状況が続いているなか、米国税関・国境警備局(CBP)と米国市民権・移民局(USCIS)は、2021年11月12日、Shergill, et. al. v. Mayorkas訴訟を和解( litigation settlement )で終結することとしました。この和解案により、L-1ビザ駐在員の配偶者(L-2ビザの方)およびE-1/E-2ビザ駐在員の配偶者は、EADカード(就労許可証)を取得せずとも、主たる駐在員の配偶者の「地位に付随して」就労することが認められることになります。本記事では、このL及びEの扶養配偶者に関するルール変更に焦点を当てることとします。
この和解を受けて、2022年1月31日、米国税関・国境警備局(CBP)のSystems Enforcement Analysis and Review (SEAR)オフィスは、CBPがEおよびLの駐在員の配偶者に労働許可があることをI-94の注書きに記載して識別するため、以下の新コードの使用を開始したとを発表しました。F
新たに承認された入場区分(COA)コードとは何でしょうか?
E-1S – E-1の配偶者 E-1Y – E-1の子供
E-2S – E-2の配偶者 E-2Y – E-2の子供
E-3S – E-3の配偶者 E-3Y – E-3の子供
L-2S – L-1AまたはL-1Bの配偶者
L-2Y – L-1AまたはL-1Bの子供
なお、米国市民権・移民局(USCIS)は、米国内でのLまたはEの配偶者へのステータス変更を承認するI-797承認通知の下部に添付されるI-94においても、これらのコードを使用しています。.
私はEまたはLの配偶者で、この新しいコードの注釈付きI-94を持たずに米国に滞在しています。どのようにしてコード付きのI-94を入手できますか?
SEARの職員によれば、新しいコード付きのI-94を必要とする者は、一度米国を出国して再入国しI-94を取得しなおさなければならないとのことです。自動再認証システム(automatic revalidation )を使ってメキシコまたはカナダへの30日以内の渡航をした方は、CBPのオンラインI-94ウェブサイト( I-94 website)を通じてコード付きのI-94を取得することができます。また、メキシコまたはカナダから陸路国境で入国し紙のI-94の発行を申請して取得した場合も、コード付きのI-94を受け取ることができます。CBPは、EおよびLの配偶者が米国へ入国しI-94を申請する際に、主たるビザ保持者であるEまたはLの方との結婚を証する書類(訳者注:戸籍謄本と翻訳証明付英訳など)を携帯することを推奨しています。
このコードの注釈付きI-94は、雇用開始時に作成するフォームI-9の記入に使用可能でしょうか?
良い質問です。USCISは、本和解に関連して、ポリシーマニュアルの第10巻第2章(Volume 10, Chapter 2 )を変更しました。ポリシーマニュアルには、「2021年11月12日より、USCISはE-1、E-2、E-3、L-2の扶養配偶者の雇用はステータスに付随して許可されたものとみなす」と記されています。しかし、このポリシーマニュアル変更においては、フォームI-94に単にE-1,E-2,E-2C,E-3,E-3D,E- 3R,L-2とステータスが記載されただけのI-94では、フォームI-9の就労許可を示す文書として十分ではない、と述べています。
フォームI-9記入のためのM-274 Handbook for Employersが更新されたのは、2021年11月16日(updated on November 16, 2021)であり、前述のCOAコードの使用が開始される前でした。この更新は、後述する就労許可の自動延長に焦点を当てたもので、新しいCOAコードの注書きが付いたI-94をフォームI-9の就労許可を示す目的で使用できかどうかについては触れていません。(そのため、コードの注釈付きI-94をフォームI-9の就労許可を示す目的で使用できるかどうかは、本書執筆時点では、明らかではありません。)改訂が待たれます。
雇用主は、通常、EおよびLの方のフォームI-9をどのように記入するのか?
L-1、E-1、E-2、E-3の方がフォームI-9のために提示する書類を選択する( acceptable combination)にあたっては、通常はリストAに示されるI-94とパスポートの組み合わせを提示されているでしょう。今後は、EとLの扶養配偶者が就労開始しようとするときも、通常この組み合わせ(パスポートと新しいコードの注書き付きのI-94)を提示することになると予想されます。(しかし、上記のとおり、本書執筆時点ではHandbookは更新されておらず、この組み合わせが採用されることになるかは明らかではありません。)(ちなみに、主たるビザ保有者たるEやLの駐在員がビザスポンサーでしか働けないのとは異なり扶養配偶者には勤務先の制限はありません。)従来は、通常、就労許可証であるEADカードが提示されていました。EADカードの発行を受けずとも就労許可があるというこの和解案が認めた変更により、現在取得までに長い時間がかかっているこのEADカードを取得する必要がなくなりますので、これは大きな変更です。もちろん、扶養配偶者のI-94は、主たるEおよびLの駐在員のI-94の期限内に限られます。なお、和解案で指摘されているEADの有効期限の自動延長は、適切なコード注釈のついた新しいI-94を入手できない方を除いて、将来的には稀ケースになると思われます。
(上記の変更のきっかけである)和解案で述べられた主な変更とは何ですか?
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USCISは、L-2の配偶者は、雇用許可証(EAD)を申請しなくても、L-2としてのステータスに基づいて就労することが認められるというガイダンスを発行することを約束しました。これが認められるというのは、大変大きな変更です。現在、USCISにおけるEAD(I-765就労許可申請)の審査には、8~13.5か月という大変長い時間がかかっているからです。この変更に伴い、L2ステータスに基づいて就労するために(フォームI-9の就労許可確認のために)どのような書類を雇用主に提示することができるかという点が次に問題となります。USCISとCBPは、2021年11月10日(本和解の「発効日」)から120日以内に、I-9のリストCの目的でI-94を提示することができるよう、I-94に注釈書きを付けることとしました。この実施期限(発効日から120日以内)は、2022年3月10日とされましたが、上述の通り、CBPは期限を前倒しして、2022年1月31日に、(EおよびLの扶養家族の方についての)新しいCOAコードを発表しました。
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また、USCISは、L-2保持者が、手持ちのEADの有効期限が切れる前にI-765申請(EAD更新申請)を提出した場合、8 CFR§274a.13(d)に基づき、手持ちのEADカードの有効期限が切れた後I-765審査中の間は、就労許可が最大180日間延長されることを認めることを約束しました。とはいえ、I-94の期限までしか就労することは認められません。すなわち、雇用主は、I-94、I-765申請の承認又は却下日、EADの180日自動延長の終了日のいずれか早い日までに、フォームI-9の目的のために、従業員の就労許可を再度確認する必要があります。2021年11月30日、USCISは、この自動延長に関するフォームI-9の記入を明確にする発表(clarification)を行いました。しかし、この時点では、EおよびL2の配偶者の方は、ステータスに付随して雇用許可があるとされることになった後も、USCISが発行する(I-94に関する)書類に変更はないと記載されていました。
本和解の発表後、2021年11月12日、USCISはポリシーアラート(Policy Alert )を発行し、EまたはLの配偶者は、EADの期限が切れる前に延長申請(I-765)を適時に提出することで、上記のような就労許可の自動延長を受けることができると明確にしました。このポリシーアラートの中で、USCISは、自動延長を受けるために必要な書類の組み合わせは以下の3つであると述べています。
- 非移民資格(H-4、E1またはE2、またはL-2)を示すI-94(期限内のもの)
- EADが切れる前に提出されたEAD更新申請書(フォームI-765)のフォームI-797Cで、「Class Requested」が(a)(17)、(a)(18)、または(c)(26)のいずれかに該当することを示すもの。及び
- 期限切れのEADで同じカテゴリー(A17、A18、C26)で発行されたもの。
さらに、ポリシーアラートでは、EとLの配偶者は、そのステータスに付随して雇用許可があることを確認しています。そのため、EADカード(Form I-765)を申請する必要はなくなったはずです。しかし、ここでは、「EADを受け取ることを希望した場合は、引き続きForm I-765の申請をすることができる」と記載されています。
注意!「EADを受け取ることを選択した場合は」とはどういう意味でしょうか?
上記のとおり、USCISもCBPも、まだ新しいCOAコードの注書きが付いたI-94を、フォームI-9の就労許可の目的で使用できかどうかについて、明確にしていません。従って、この要件が更新されるまでは、フォームI-9を完成させるためには、EADが必要となります。なお、2022年1月31日時点で、すでに米国に滞在しているEおよびLの扶養家族は、上記のとおり、一度出国して米国へ再入国することで、新しいCOAコードが付いたI-94を取得できます。2022年1月31日以降に米国に入国するEおよびLの配偶者のI-94には、適切なコードが記載されているはずです。
この新しいコードがI-94に記載されていない状態で既に米国に入国した配偶者は、CBPの遅延検査(deferred inspection)にI-94コードの注書きの追記を申請できるか?
一部の弁護士によれば、CBPは、CBP事務所(deferred inspections)への申請により、I-94システム内でコードの変更を行うことができるかもしれないと述べていましたが、SEARSは、このような変更はできないと述べました。通常、CBP事務所は、I-94の「間違い」を修正しますが、I-94の発行時には存在しなかった新しいカテゴリーコードを記載することはできません。したがって、(メキシコまたはカナダなどへ)出国し、再入国することで、新しいコードの付いたI-94を取得することが必要です。米国への入国は当然常に認められるものではありませんので、他の解決策があると望ましい。例えば、L-1やEの主たるビザ保持者との婚姻を証する公的文書と新しいCOAコードの注書きのないI-94をあわせて示すことでフォームI-9のリストC文書として使用可能とすることも可能だと思われるものの、そのような対応が認められる兆候はこれまでのところありません。
要点 - 配偶者のワークモビリティ
E-1、E-2、E-3、L-2の配偶者は、米国に入国した後EADカードを入手することなく就労することができますが、I-94の注書きコードをよくご確認下さい。労働力不足に悩む会社にとって、EAD申請をする負担がなくなり、より早く労働者を見つけることができるようになります。配偶者の労働許可は、多くの外国人労働者が米国で就労することを可能にします。これは非常に理にかなった方向への変更でしょう。.
Original version in English here.
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