米国労働省は、2021年3月8日施行予定の独立請負人最終規則を発表。果たして施行されるでしょうか。| U.S. Department of Labor Issues New Independent Contractor Rules For March 8, 2021; Will It Take Effect?
- Cummings, Roger H.
- Industry Alerts
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多くの雇用主の方が、連邦賃金・労働時間法に基づき労働者が独立請負人の地位にあるかを判断するための米国労働省(DOL)のテストの適用について、頭を悩まされておられるでしょう。雇用主は、通常、時間外労働代や最低賃金を支払う義務のない労働者として、独立請負人を活用されます。雇用主にとって、独立請負人の地位にあるかを明確かつ容易に判断できるテスト基準が求められてきました。
このテスト基準として、米国労働省は、歴史的に、連邦判例法を通じて発展した6要素からなるいわゆる「経済的現実性」テストを採用してきました。しかし、これまで、このテストを正式に承認する規則は発行されておりませんでした。
今回、米国労働省は初めて、独立請負人テストを承認・確立する連邦最終規則を発表しました。この最終規則は、雇用主がどの労働者が独立請負人の要件を満たすかを容易に判別できるよう、独立請負人テストを「合理化・明確化」することを目的としています。
最終規則は、独立請負人の要件を満たすかの判断に「経済的現実性」テストを使用することを承認しています。決定的な基準は、その労働者の業務が、労働者個人の事業のものか、それとも雇用主に経済的に依存したものかです。どのように判断するかは、その労働者と会社の個別・具体的な関わり方の事実関係によることになりますが、最終規則では、5つの要素に焦点を当て、労働者の地位の実態を評価するためのより明確な枠組みを提供しています。
- 業務に対するコントロールの性質と程度
- 労働者のイニシアチブ・投資による、利益・損失拡大の機会
- 仕事に必要な技能の程度
- 労働者と使用者との間の業務関係の永続性の度合い
- 業務が一体的な生産活動の一部であるかどうか
最初の2つの要素が中核的要件であり、これらの要素がいずれも独立請負人であると示す場合、その方は独立雇用主の地位にあると認められる可能性が高いです。同時に、これら2つの要素の検討結果がいずれも独立事業主ではない(雇用された従業員である)と示す場合も、また同様にその分類は正確である可能性が高いとされます。他の3つの要素は、最初の2つの要素がいずれも独立請負人である、あるいは従業員である、という同じ分類を指し示さない場合に、分析における追加の指針としての役割を果たすものです。
また、労働者と使用者の契約書にどのように記載されているかよりも、実際の労働者と使用者の関係の事実の方がより重要です。そのため、独立請負人との契約には、労働者と使用者の関係を実態に即して正確に記載し、また実際に行われる業務にそぐわない条項は避けるということが重要になります。
米国労働省は、判断のさらなる指針として、以下の6つの具体例を挙げ、それぞれの場面においてテストの基準をどう判断するかを具体的に示しています。(1)トラック運送業の文脈における「コントロール」について、(2)ギグエコノミーにおける「利益・損失拡大の機会」について、(3)建設業における「利益・損失拡大の機会」について、(4)季節性接客業における「業務関係の永続性」について、(5)および(6)ジャーナリズムにおける「一体的な生産活動の一部」について(独立請負人と従業員の地位をそれぞれ例に挙げています)。
この最終規則は2021年3月8日に施行するものとされていますが、バイデン次期政権はこの規則を「凍結」する可能性を示しており、新たな規則案が発表される可能性が高いとされています。したがって、この米国労働省が初めて規定した独立請負人最終規制がどうなるかは、もう少し様子を見る必要があるでしょう。
さらなる情報は、以下のリンクをご参照下さい。
https://www.dol.gov/agencies/whd/flsa/2021-independent-contractor
English version here.Related Practices
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